今回のテーマは「去勢手術・猫エイズなどの検査」です。

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道を歩いていたら、見るからに一人では生きていけない子猫がいた…。
こんな経験をする人はごく少数かもしれませんが、
見て見ぬふりもできず、家で育てることになったとあらば、子猫のためにすべきことがたくさんあります。
 

この連載では、実際に瀕死の状態で保護された一匹の子猫を事例にしながら、

子猫を保護した場合の対処法を具体的にご紹介します。連載第一回のテーマは「病院」です。


避妊手術・去勢手術について

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猫の健康のことを考慮したり、獣医師と相談した上で、避妊・去勢手術をするかしないかを決めます。手術を行うとなった場合は、注意することがいくつかありますので、ひとつずつチェックしてみましょう。

■メス猫の場合
メス猫の場合、最初の発情が来る前に避妊手術をするのが一般的です。手術は1泊の入院が必要なことがほとんど。麻酔を使用して開腹手術を行います。値段は病院によって大きく変動しますが、20,000~35,000円と、オス猫よりも少し高めとなります。

■オス猫の場合
オス猫を去勢するには、生後4カ月以上であることと、体重が2kg以上であることが条件となります。オス猫特有のスプレー行為が見られる前に手術をする飼い主さんが多いです。開腹手術ではないため、たいていは日帰りで退院することができます。値段は病院によって大きく変動しますが、15,000円から20,000円であることが多いようです。

手術の予約をする

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当日いきなり猫をつれていって手術することはできません。ほとんどの動物病院が予約制となっております。病院によっては年末やお盆あたりに避妊・去勢手術が集中して予約がとりにくかったり、獣医師が学会などで病院にいなかったりするため、余裕をもって予約することをオススメします。

今回保護された猫・空ちゃんは、近所の動物病院で予約をした上で手術を受けました。体格もよく、体重もしっかりあって、月齢も8カ月だったため手術に踏み切りました。

手術前日の動き方

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手術前日は、夜以降は絶食です。病院によって、夜の何時から絶食であるかは変わるので、事前に獣医師に聞いておき、指示に従いましょう。ただし、絶「食」なので、水を与えることは問題ないです。

手術当日


手術当日は、絶飲しなければなりません。こちらも病院によって「○時以降絶飲」と、指示が異なります。また、絶飲をする必要がないという場合もあるので、獣医師の指示に従いましょう。

また、あまり考えたくはありませんが、猫をあずけて手術の最中に容態が急変するなどの何かしらのアクシデントが起こるかもしれません。可能であれば、すぐに対処できるよう手術の日は一日中自宅で待機できるようにしておきましょう。

保護猫空ちゃんは、ものすごい食欲の持ち主。前日から当日にかけての絶食が耐え切れるか不安でした。空ちゃんが悲痛な声で「にゃー」とご飯をねだり続けましたが、ぐっと我慢。

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キャリーに入れて病院に到着すると、空ちゃんは怖くてブルブルと震えだしてしまいました。手術はものの3時間半ほどで終了。電話で手術が無事に終わったとの連絡を受け、病院へ迎えに行きます。

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少々疲れた様子の空ちゃんでしたが、家に到着すると絶食した分までご飯をがっつり食べていました。

手術の後

そして、手術が終わった後は、抜糸をする必要があります。7~10日程度で再来院し、抜糸してもらいます。ただし、最近は抜糸が不要の手術もメジャーになりつつあるので、こちらも併せて獣医師に聞いておきましょう。

去勢が済んだ猫は太りやすくなる


避妊・去勢手術が終わった猫ちゃんは非常に太りやすくなります。カロリーが低いフードや手術が終わった猫専用のフードがありますので、普段のフードからそちらに切り替えることを検討してもよいかもしれません。
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また、猫の早食いを防止するための食べにくい皿なるものも販売されています。ご飯をガッツイてしまう子にはオススメです。


猫エイズ・猫白血病でないかを検査する

次に、捨て猫を拾った際は、必ず猫エイズなどの病気を持っていないか検査しましょう。

猫エイズとは、猫免疫不全ウィルス感染症のことで、猫エイズが発症すると免疫が適切に働かなくなり、体の抵抗力が低下します。そのため他の病気を罹患する確率が高まってしまうのです。治療法が確立されていないとても恐ろしい病気です。

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その他、猫白血病ウィルス感染症などの病気もないかきちんと検査します。エイズと同じように、猫の抵抗力が大きく低下します。こちらもこの感染症を直接治療する方法が今のところありません。

猫が生後6カ月以降でないと正しい検査結果が出ない


検査は動物病院で行われます。電話などで病院の予約をした際は、あらかじめ「猫エイズ・猫白血病の検査をお願いします」と伝えておくと当日スムーズに検査してもらえます。

保護した猫が体の大きい成猫だった場合は、保護してすぐに病院で検査してもらいます。ただし、保護猫が子猫だった場合、生後6カ月以降にならないと正しい検査結果がでてきません。これは、母猫からの移行抗体が消失するのが生後6カ月以降であるためです。

子猫が心配で、保護してすぐに検査する飼い主さんもいらっしゃいますが、その際の検査結果が「陽性」であった場合は必ず再検査をしなければなりません。その再検査でも同様に「陽性」となって初めてその猫は感染しているということがわかります。なお、血液検査は病院にもよりますが3,000~5,000円程度であることが多いです。

空ちゃんもいよいよ血液検査の日を迎えました。「空は元気だし大丈夫」と思う一方で、「もし陰性ならどうしよう」と不安がありました。しかし、どんな結果であったとしても現実をしっかり受け止めようと意を決して検査に臨みます。

キャリーで運ばれ、診察台に乗せられた空ちゃん。中々キャリーケースから出てきませんでした。無事に採血が終わり、待合室で15分ほど待機します。

気が遠くなりそうなくらい長い長い15分。とうとう先生から「中へどうぞ」と呼ばれます。血液検査の結果、「陰性」との判定がでました。空ちゃんは、猫エイズにも猫白血病にも感染していませんでした。獣医の先生や受付のお姉さんに「陰性で本当によかったですね」と笑顔で見送られ、病院を後にしました。

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家に到着すると、飼い主さんの安堵をよそに、空ちゃんは採血した箇所にまかれたテープを気にしてしまっていました。元気よく走り回る空ちゃんの姿に、ほっと一安心です。