何故かよく耳にするのは、「恋人に猫を捨てろと言われた場合、女性は猫を選ぶけど男性は恋人を選ぶ」という言説だ。それって実際本当なのだろうか?


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猫を愛する心に男も女も関係ないと思う

自分の親密圏内を振りかえって考える限りでは、「それはナイ」というのが私の考えだ。「女だから猫を心から愛する、男だから猫を浅くしか愛せない」なんてことはまず無いと思う。猫を愛する心に男も女も関係ないと思うのだ。「猫を捨てることを選択する」という行動の根拠が、「男だから」とまで言われてしまった日には、「さすがにそれは因果関係が破綻しちゃってるだろう……」と思わざるをえない。性を差別の根拠に据えるのはよくないことだと思う。




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彼女「猫は処分しておいてね☆」

私の親密圏内を振り返ってみても、実際に恋人より猫をとった男性が2人いる。そのうちの一人に詳しい話を去年の同窓会で聞いたのだが、まぁ色々考えてしまう内容だった。

所々にフェイクを入れてあるが、骨子は概ねこの通りの話だ。結婚の話が進んでいた彼女さんと、新居について話し合ってた時のことだそうだ。猫を飼っていたのは彼氏の方だったのだが、自分が調べてきたペット可マンションの候補一覧を彼女に見せた際、彼女が言った一言で結婚の話が一瞬で消え去ったという。彼女はこういったのだそうだ。「ペット可マンションだと敷金高くなるから、猫は処分しておいてね☆」と。

「あの女があまりにも自然に、あまりにも明るく言い放ったので一瞬何を言われたのか理解できなかった」と、彼は語っていた。

なぜか頭に思い浮かぶのは「豚」

余談だが、彼がその時彼女に向かって最初に言い放った言葉は「ふざけるなよメス豚が」だったそうだ。……何故だろう。私がお付き合いしていた殿方から「俺と結婚してほしいなら猫を捨ててこい」と言われた時も、無意識のうちに口をついて出た最初の言葉が「ふざけんなよ豚野郎」だった(汚い言葉を使ってゴメンナサイ)。……これは私の周りだけなのだろうか。自分の愛猫に危害を加えたり加えようとしたりする相手を、猫の下僕は何故かよく「豚」という言葉を使って表現する。別に示し合わせたわけではないのに、少し不思議だ。

「里親希望の方が、恋人のいない独身男性だった場合は、少し注意が必要」

話を元に戻そう。「恋人に猫を捨てろと言われた場合、女性は猫を選ぶけど男性は恋人を選ぶ」という言説に関しては、「特にそうは思わない」というのが自分の意見だ。しかし、それはもちろん私の狭い狭い親密圏内に限っての話だ。広い広い世間ではそうではないのかもしれない。

世の中には、飼い主のいない猫達に、新しい里親を見つけるボランティアをしている人たちがいる(私の友人にも、そうしたことを行っている人が20人程いる)。こうしたボランティアを行う際は、保護猫カフェのようにシェルターがある場合もあれば、里親が見つかるまで個人の自宅で猫を保護しているという場合もある。私の場合、仕事の関係で会う人も、プライベートで会う人も、そのほとんどが後者のケースなのだ。

猫ちゃんの譲渡に関して、彼らが口を揃えてよく言うのは、「里親希望の方が、恋人のいない独身男性だった場合は、少し注意が必要」ということだ。

大切な猫の里親となる人なのだから、譲渡にあたって厳しく審査をする必要がある。相手が結婚していようがいまいが、若い人だろうが年配の人だろうがそれは関係ない。しかし、彼らが特に注意して審査するのは「恋人のいない独身男性」なのだそうだ。

彼らはお互いに顔見知りなわけではないが、不思議なことにほぼ全員が同じことを言う。それが、冒頭に出てきた言説なのだ。「女は恋人に猫を捨てろと言われても猫を選ぶが、男は恋人に猫を捨てろと言われると、自分が捨てられたくないあまり猫を捨ててしまう」というのだ。

彼らは無根拠にこの言説を振りかざしているわけではなく、「統計的にそういう傾向にある」と語っている。恋人に猫を捨てろと言われて捨ててしまうのは、何故か女性よりも男性が現実に多いのだそうだ。もちろん、彼らは「恋人のいない独身男性」というだけで里親を断るなんてことは、絶対にしていなかった。「恋人のいない独身男性」でも、大切な保護猫を譲渡するケースだってたくさんあるという。ただ、猫を捨ててしまう危険性が「統計的に」あるから、審査の際により注意深くなるんだそうだ。

猫を愛する気持ちに、男も女も関係ないのだ

「恋人に猫を捨てろと言われた場合、女性は猫を選ぶけど男性は恋人を選ぶ」という言説。猫の保護活動の一部の現場では、「統計的に考えて起こりうる現実」と捉えられ、審査がより一層厳格になるという。これは、根拠のない差別などではない。保護している猫が、幸せに暮らせるよう、無責任に捨てられたりしないよう、猫の幸せを願ってのことなのだ。決して男性を見下したり卑下したりしている訳ではない。

このように、猫の保護活動の現場では、「恋人のいない独身男性」は注意されてしまうそうだが……ただ、やっぱり女だろうが男だろうが、一度家族になった大切な猫を愛する気持ちに違いなんてないと思う。女性がそうであるように、自分の愛猫を心から大切にしている男性はとてもとても多い。

それは、先日から一緒に暮らし始めた自分の彼氏を見ていてもそう思う。家に帰ってくると、私に「ただいま」と言った後の一言は、必ず、必ず、必ず必ず「リクちゃんとハルちゃんはどこ?」だ。

その時いる場所は二階のベッドの上だったりコタツの中だったりと様々だが、私が場所を教えてやると「きゃあああああリクちゃんとハルちゃんただいまあああああ!!今日も可愛いでちゅねええええ!!」と叫んで一目散に猫のところへと行く。正直言って疲れている時はその愛情たっぷりの声がクソうるさいと思うが、自分の猫をこんなに大切にしてくれているわけだし、なおかつ私も帰ってきた時はまっっっっっっったく同じ言動をしているので人のことは言えない。

猫を愛する気持ちに、男も女も関係ないのだ。